- 2008年6月20日
On the Contraryの話
加賀信広(筑波大学教授)
英語の語法の話を1つ。学生の卒業論文や修士論文で、場合によっては、名の通った言語学の先生がお書きになった論文においても、on the contraryという副…
- 2008年6月9日
言語の学への誘い
すぎもとつとむ(早稲田大学名誉教授)
国際的にみて日本の児童、生徒は学力低下している。だからユトリ教育を排して旧のように充実した学…
- 2008年5月23日
常識がコモン・センスでなくなるとき
安武知子(愛知教育大学教授)
英語の勉強を始めたばかりの中学生はさまざまな疑問や違和感に直面します。例えば、日本語とは異質の名詞や動詞の形態変化は、不規則活用の存在も含めて、中学生を悩ませ…
- 2008年5月9日
すずめ百まで
久保田正人(千葉大学教授)
30 年ほど前、メアリー=ルイーズ・キーン(Mary-Louise Kean)という言語学者の博士論文The Theory of Markedness…
- 2008年4月25日
「言語楽のすすめ」
石黒 圭(一橋大学准教授)
最近、大学時代の友人と話をしていて、おもしろいことに気づきました。その友人は理科系の研究者なのですが、彼曰く、「自分は頭の回転が遅いので、頭のなかのハードディ…
- 2008年4月11日
シャーロック・ホームズの「推理学」が教えてくれること
坪本篤朗(静岡県立大学教授)
コナン・ドイル(Sir Conan Doyle)は「観察と推理の習慣を一つの体系にまで」発展させ、絶対に失敗しない私立探偵を創造した。それがシャーロック・ホー…
- 2008年3月28日
意味世界の面白さ: 対立と統一
河西良治(中央大学教授)
例えば、youngとoldは、意味の対立関係を持つ反意語(antonym)であると意味論では分析される。しかし、この対立という現象には以下に述べるような興味深…
- 2008年3月14日
意味とは?
奥野忠徳(弘前大学教授)
言葉の意味とは何だろうか? 例えば、「鳥」という語の意味を考えてみよう。鳥とは何か?と問われれば、いくつかの答え方があるだろう。鳥の定義を述べることも一つの答…
- 2008年2月29日
「漠然とした興味」が具体的になったとき
岡崎正男(茨城大学准教授)
私が現在興味をもっている領域は、インターフェイス、変化、それに詩の形式という具合になる。具体的には、文の韻律・抑揚と文構造、意味、文脈、感情との関係、発音や語…
- 2008年2月15日
倭から日本へ
飛田良文(国際基督教大学アジア文化研究所客員所員)
日本語の歴史に興味を持つようになってから、いつも不思議に思っていたのは、日本語はいつから存在したのだろう、という疑問だった。日本人の使う言葉が日本語だと考える…
- 2008年2月1日
意味と形のつながり
岩田彩志(大阪市立大学准教授)
私は英語における意味と表現形式の関係を主に研究しています。こう書くと難しそうに思われるかもしれないので具体例を少し出してみます。まず一つ目。同じ単語であっても…
- 2008年1月18日
【連載: 「ことだま」というもの】6. 結語
安井稔(東北大学名誉教授)
太古、「ことだま」に対する人々の態度は、大らかなものであったと思われる。不吉なことと結びつきそうな縁起の悪いことばの使用はできるだけこれを避け、幸運をもたらす…
- 2007年12月21日
新しい語はどのように組み立てるのか
大石 強(新潟大学教授)
言葉の仕組みの解明には、色々な側面から実証していくことが必要ですが、私が興味を持っていることは、新しい語がどのように作られるのかということです。これに関わる課…
- 2007年12月7日
ことばの風景―cook
安井 泉(筑波大学教授)
英国の朝食は豪華である。ホテルに泊まり、イングリッシュ・ブレックファーストが出ると聞けば期待して食堂に向かってよい。たっぷりの紅茶にトースト、加えて、ベイクト…
- 2007年11月23日
ある「あいまいさ」を考える
福地 肇(東北大学教授)
誰かが、「隣のお婆さんは、人が嫌がることをする」と言ったとします。この言葉からは、どんなことが読み取れますか。いろいろなことが読み取れるのでしょうが、少なくと…
- 2007年11月9日
英語における目的語の省略について-eatを例に
小野塚裕視(筑波大学教授)
動詞には自動詞と他動詞の区別がありますが、区別の鍵は目的語の有無です。自動詞は目的語を伴わず、他動詞は目的語を伴って現れます。けれども、外見は自動詞でも、意味…
- 2007年10月26日
ことばの研究の楽しみ
関 茂樹(大阪市立大学教授)
英語には see, findなどの知覚動詞を含む文があります。次のような例文を見てみましょう。
(1) We saw him.
通例は、彼に会った…
- 2007年10月12日
【連載: 「ことだま」というもの】5. よみがえる「ことだま」
最近の脳科学の教えるところによると、脳の中には「ミラー細胞」と呼ばれる細胞があるという。少しくだけた言い方をするなら、「さるまね細胞」、最近はやりのことばを使…
- 2007年9月28日
言語学者が共通して持っている3つの心
田中伸一(東京大学准教授)
5年間大学院で英語学・言語学を学び,14年間大学や大学院で教えてきて思うのは,学者というものは完璧主義型と自由奔放型のタイプの違いこそあれ,共通してほぼ3つの…
- 2007年9月14日
英語の歴史に興味をもつ訳
天野政千代(名古屋大学教授)
世界には様々な言語があり、ドイツ語やギリシア語のように時制、数、人称、性、格語尾などを表す語尾変化が豊かな言語もあれば、英語やスカンジナビア語のようにそうした…
- 2007年8月31日
英語の「何故」が分るときの喜び
西川盛雄(熊本大学教授)
a heavy wrestler の意味は [a wrestler who is heavy] と解釈して「体重の重いレスラー(相撲取り)」…
- 2007年8月17日
「隙間のある言語、隙間のない言語」
岩本遠億(神田外語大学準教授)
英語を読んでいて、単語の意味は全部分かるのに文の意味が掴みきれないということを経験したことはないだろうか。例えば、次の文の意味を考えてみよう。
(1)…
- 2007年8月3日
【連載: 「ことだま」というもの】4. ことだまの力について
安井稔(東北大学名誉教授)
ことだまに関する以上の記述に、誤りがあるとは思わない。が、不十分なところが二つある。一つは、認可表現に関するものであり、もう一つはことだまに関するものである。…
- 2007年7月27日
言語が語る意味の世界
廣瀬幸生(筑波大学教授)
私の言語研究の中心は、言語における意味の問題について考えることです。言語が語る意味の世界は客観的な世界そのものではなく、われわれ人間の目を通した世界です。した…
- 2007年7月20日
英語の「何故」が分るときの喜び(上)
西川盛雄(熊本大学教授)
英語学の喜びは英語の「何故」が分ったときにあります。分らない事例を自分で調べて分ったときや先生や友人から説明してもらって分ったときの喜びは大きく、次のステップ…
- 2007年7月13日
言語研究のきっかけになった(かも知れない)経験
鷲尾龍一(学習院大学教授)
私は言語の比較研究に携わっている。これまで日本語、韓国語、モンゴル語、英語、フランス語、オランダ語など、主にアジア諸語と西欧諸語との比較に基づき、諸言語が互い…
- 2007年7月6日
【連載: 「ことだま」というもの】3. 認可表現と言語学の立場
安井稔(東北大学名誉教授)
日本においても、ことば狩りは、社会全体をおおう晴雲のような様相を呈している。それは、身体的なハンディキャップを示す語の場合、特に著しい。もちろん、ことば狩りは…
- 2007年6月29日
日本語の促音
窪薗晴夫(神戸大学教授)
数年来、ある言語現象に頭を悩ましています。頭を悩ましていると言っても困っているというわけではなく、わからないことを楽しんでいるという状態です。それは日本語の外…
- 2007年6月22日
英語学を専攻した頃
鈴木英一(獨協大学教授)
英文法が好きで、高校の英語教師を目指して、東北大学文学部に入学した。入学まもない初夏、教養部ではストライキが始まり、しばらく授業がなかった。授業が始まっても、…
- 2007年6月15日
基本語彙表の作成に携わって
秋元美晴(恵泉女学園大学教授)
7名の日本語教育の専門家と改訂『日本語能力試験出題基準』の語彙表を作っている。はじめてから2年近くたち、委員会はすでに60回を数えている。当初の予定では、語彙…
- ホーム
- リレーエッセイ