- 2010年10月29日
「文章・談話論」への誘い
佐久間まゆみ(早稲田大学教授)
「文章・談話論」とは、日本語の書きことばと話しことばの最大の言語単位である「文章」と「談話」の表現と理解のしくみやはたらきを総合的に解明することを目的とする、…
- 2010年10月15日
「破れない文法,破れる文法」
砂川有里子(筑波大学教授)
文法というものを考えたとき,規則を暗記したり規則を使ってことばを分析したりしたことを思い出す人が多いのではないかと思います。私の頭の中にも「ありおりはべりいま…
- 2010年10月1日
「英語のアクセントの法則に魅せられて」
児玉 一宏(京都教育大学准教授)
私がまだ言語学を専攻していない法学部の学生であった頃のことです。ある英語の授業を通して,M. ハレとS. J. カイザーという言語学者の論文と出会い,英語のアク…
- 2010年9月17日
Chinkと呼ばれて
山田英二(福岡大学教授)
「Chink!」・・・少女は初め、それが自分に向けられた言葉だとは思わなかった。しかし、とうとうある日、家に帰って聞いてみた。 「ねぇおじいちゃま、わたし時々…
- 2010年9月3日
鯛焼きは何で数えますか
李在鎬(国際交流基金 日本語試験センター 研究員)
四谷駅から徒歩数分のところに,東京鯛焼き御三家の一つとされるお店があります。薄皮のパリッとした食感に加え,頭から尻尾の先までぎっしりと餡が詰まっていて,なかなか…
- 2010年8月20日
センター試験を見る視点
本多啓(神戸市外国語大学教授)
今年行われた大学入試センター試験の英語で、たいへん興味深い問題がありました。交差点でスポーツカーとバンが危うく衝突しそうになったという事件を、異なる立ち位置か…
- 2010年8月6日
三つ子の繰り返し
山口治彦(神戸市外国語大学教授)
ずいぶん以前のことである。あれは息子が3歳くらいの頃だったか。ことばをやたら繰り返してくる時期があった。
父:そろそろ葉っぱが赤くなってきたなあ。…
- 2010年7月23日
発話の意図の射程
久保 進(松山大学教授)
語用論では、実際の日常の会話を十分に反映していると考えられる映画のスクリプトを会話分析の材料によく用いる。ここでは、以下の引用例を用いて、「発話の意図の射程」…
- 2010年7月9日
意味の三角形-意味研究への誘い
辻幸夫(慶應義塾大学教授)
私は「意味」の喪失・崩壊の現象や失語症候群などに神経心理学的な立場から興味があります。精密な言語理論と組み合わせることで新たな展望が開けるのではないかと期待し…
- 2010年6月25日
私の言語学の課題の見つけ方
西光義弘(神戸大学名誉教授)
言語学の研究の方法には研究者の性格などによっておのずと異なってくる。細かい事実を積み重ねることによって一般化に達する人もいれば、大きな構想から出発する人もいる。…
- 2010年6月11日
応用言語学と外国語教育・学習
白井恭弘(ピッツバーグ大学教授)
応用言語学の一分野として、第二言語習得 (Second Language Acquisition = SLA) というものがある。この分野は外国語学習という非常…
- 2010年5月28日
認知文法への誘い「文法の中の文化」
吉村公宏(奈良教育大学教授)
教育大学は主に小中高の先生を育てるところですが、私はそうした教育大学で英語学と認知文法論を教えています。中高等学校の英語教育で、昔と大きく変わった点は、実用的…
- 2010年5月14日
福山雅治と私としおと塩化ナトリウム
本多 啓(神戸市外国語大学教授)
最近自分がある意味福山雅治に似ていることに気がついた本多です。こんにちは。私のことをご存知の方、そんなに怒らないでください。ま、世の中には「勘違い」という言葉…
- 2010年4月30日
言語類型論・認知言語学から「認知類型論」へ
堀江 薫(名古屋大学教授)
私は1988年に渡米し、南カリフォルニア大学大学院でB.コムリー教授のもとで言語類型論と言語普遍性の研究に取り組み、1993年に言語学博士号(Ph.D. in…
- 2010年4月16日
「日本語ウォッチング」の楽しみ
白川博之(広島大学教授)
ある日、みかんの果肉入りの缶ジュースを飲んでいたとき、何の気なしに缶の表示を見て、「えっ?」と思った。
みかんの粒が沈殿しますので、振りながら…
- 2010年4月2日
規範文法のみで教えることが正しいのか
南 雅彦(サンフランシスコ州立大学教授)
私は、学部生に日本語を教えるだけでなく、大学院レベルの認知意味論・語用論・言語地理学・方言地理学などの言語学諸分野と文化人類学や異文化心理学を含む『社会言語学セ…
- 2010年3月19日
「の(だ)」に対応する英語はひとつではないのだ!
大竹芳夫(新潟大学准教授)
日本語と英語の研究の醍醐味はズレにあります。はじめて英語と出会ったころ、「なす」が“eggplant”に、「お早う」が“Good morning.”になる発想…
- 2010年3月5日
「代名詞」と「王様」
森 雄一(成蹊大学教授)
「代名詞」と「王様」、全くかけはなれた言葉のように見えますが、思わぬ共通性があります。たとえば、「ダイヤモンドは宝石の代名詞」、「ダイヤモンドは宝石の王様」と…
- 2010年2月19日
複合語の構造と意味から生み出される面白さ
竝木崇康(茨城大学教授)
単語と単語をつなげて別の単語にしたものを「複合語 (compound)」と言いますが、英語にも日本語にも複合語はたくさんあります。複合語は種類も多いので、何ら…
- 2010年2月5日
若者ことばと日本語学習の言語表現
南 雅彦(サンフランシスコ州立大学教授)
私は大学で日本語に初めて接する学生を対象としたクラスを定期的に担当していますが、そうした日本語学習者が文法規則に関して仮説をたて検証を行なっていると考えられる事…
- 2010年1月22日
友と時の魔法に導かれた英語学への道
和田尚明(筑波大学准教授)
高校時代、同じクラスに、ともに大阪外大(現大阪大学外国語学部)を目指す友人がいた。2人とも通っていた高校の教育方針が肌に合わず、周りからも浮いていたが、私と違…
- 2010年1月8日
鉄火巻派
森山卓郎(京都教育大学教授)
寿司は大好物。最近はくるくるまわるお寿司を一皿一〇〇円均一で食べるのが、ささやかな幸せだ。ちなみに、我が家の近所の「鉄火巻」だと四つに切ってあってしかも一〇〇…
- 2009年12月18日
分詞構文から見える法則を探って
早瀬尚子(大阪大学准教授)
「テレビを見ながら勉強する」という「ながら勉強」は、良くないと言われます。とはいえ、「勉強しながらテレビを見ている」よりも、まだましなような気がします。なぜで…
- 2009年12月6日
言語学への興味
松本曜(神戸大学教授)
私が言語学を専攻するきっかけとなったのは,高校二年の英文法の授業であった。当時私は理系を志していたが,この授業を通して,英語も立派な規則からできていることを学…
- 2009年12月4日
言語研究のおもしろさ―慣用表現の不思議
武田修一(静岡県立大学教授)
外国語を勉強していると、その過程で様々な疑問に遭遇します。私たちにとって身近な外国語の一つである英語の勉強の場合もそのような経験をすることが数多くあります。そ…
- 2009年11月20日
英語の歴史を知ると、なぜ英語が面白くなるのか
家入葉子(京都大学准教授)
英語史との出会いは、約20年前のこと、大学でたまたま英語史の授業を受けたことが始まりである。その後、英語史を研究テーマとして選び、今日まで長い付き合いを続けて…
- 2009年10月23日
母語と内省
竹沢幸一(筑波大学教授)
私の専門は理論言語学で、その中でも生成文法という理論に基づいて主に日本語の研究をしていますが、私にとって生成文法の研究をしていて一番楽しいと思うのが「内省」と…
- 2009年10月9日
単語のコアを求めて(2)
田中茂範(慶應義塾大学教授)
英語でgive のコアを表現すれば “cause A to GO” となり、受け手が示された場合は、cause A to GO to B となります。すると、…
- 2009年9月25日
「多義の不思議」
小野尚之(東北大学教授)
ある日、山道を車で走っていると、急なカーブにさしかかったところで次のような看板が目に飛び込んできた。
「命落とすな、スピード落とせ」
私は、思わ…
- 2009年9月11日
単語のコアを求めて(1)
田中茂範(慶應義塾大学教授)
言語学は言語を記述し、説明する学問です。「説明する」ということは、「言語というものは説明可能である」という前提を含んでします。ぼくは、この前提に強い信念を持っ…
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